敷地は広島市の郊外で斜面に沿った高低差のある団地である。施主の要望は二つ。北東の眺望を生かす事と書斎が欲しいと言う事だった。
眺望の良い北東に居間を配置して2階建ての住居棟にした。
書斎棟は道路に並行に配置し、2棟の間を中庭にした。道路側は4台の駐車スペースを確保し、中庭との間には塀を設けて外部から見えないようにした。中庭と住居、書斎の床を同じ高さにしてダイニングから中庭を通じて書斎まで行き来できるようにした。勾配が無いので雨の日はうっすらと水がたまり、気温が下がれば薄氷ができる。外壁には丸カンを取り付けており、カツラの木の成長に伴いテントを木に縛り付ければ日除けになる。異形な形の中庭は高さの違う2棟の間に挟まれ、午後は書斎棟の日陰が広がり木漏れ日の中にいるような気にさせる。
また住居棟の屋根は片流れの大屋根で樋を設けていないので雨の日は屋根をつたい落ちる雨粒で雨を感じ、雪の日は雪を感じる。
書斎から中庭、デッキテラスまで中のようで外のようでもあり、四季を通じて多様なシーンを感じさせてくれるのではないかと思う。